コーヒー専門店でコーヒーを買おうとしたとき、「浅煎り」「中煎り」「深煎り」といったコーヒーの種類があって、どれを選んだらいいかわからなくて困ったことはありませんか?
とりあえず真ん中ので……って選んじゃったこと、あるなぁ。
「浅く煎ったのが浅煎り、深く煎ったのが深煎り。……で、味はどう違うの?」
と頭の中がハテナになっているそこのあなた。
もう、コーヒー専門店で迷わなくて大丈夫です。
浅煎り、中煎り、深煎りの違いと味の特徴を知って、コーヒー通に一歩近づきましょう。
コーヒーの焙煎ってそもそも何をするの? 味はどう変わるの?
じつはコーヒー豆って、厳密には豆じゃなくて種なんです。
コーヒーチェリーと呼ばれる果実の中心にある種。
果実の周りの実の部分を機械などで取り除いて、発酵させたり水洗いしたり乾燥させたり、そうやって加工したものがコーヒーの生豆になります。
(※「なままめ」と呼ぶ人、「きまめ」と呼ぶ人、どちらも見かけたことがあります。正しい呼び方というのは定着していないようです)
生豆の状態で日本に輸出され、それぞれのコーヒー焙煎所で焙煎して、みなさんのご家庭へと届くのです。
焙煎はコーヒーの実がコーヒー豆になるまでの、最後の仕上げなんだね。
焙煎の出来によって、コーヒーの味が大きく左右されます。とても重要な工程なんですよ。
コーヒーの焙煎は、専用の焙煎機を使って行います。
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およそ180℃の温度で、16分程度豆を熱すると、私たちのよく知るコーヒー豆が出来上がります。
(説明をわかりやすくするため、大幅に省略しています)
この焙煎、最後の段階では1秒の誤差でも風味が大きく変わるのだそう。
プロによる焙煎は、まさに職人技なのですね。
コーヒーを焙煎すると、茶色くなりますね。これは「焦げ」ではないのです。
コーヒーの生豆には
- 脂質
- ショ糖
- アミノ酸
など、さまざまな成分が含まれています。
もちろん生だから、水分もたっぷり入っているよ。
これらの成分が高温で加熱されることによって、
- カラメル化
- メイラード反応
このふたつの現象が起こり、深い茶色になるのです。
プリンのカラメルソースや、お肉の焼き色が茶色くなるのと同じ原理なのだそうですよ。
コーヒーが苦いのはてっきり「焦げ」の香ばしさなんだと思ってたよ。焦げてるんじゃないんだね!
コーヒー作りにおける「焙煎」の工程の大切さ。焙煎すると味はどう変わるのか
コーヒーを適切に焙煎すると、生豆の持つおいしさが引き出されます。
元のクオリティが高い生豆ほど、適切に焙煎できたときのおいしさの伸びしろも大きいですね。
- 酸味
- 甘み
- 苦味
- コク
- 香り
など、コーヒーの持つフレーバーを引き出すのが焙煎の役目です。
上手に焙煎ができれば、コーヒーの個性が引き立ちます。
一方で、焙煎に失敗してしまうと
- 生焼けでえぐみやおいしくない酸味が出る
- 焼けすぎて焦げのような刺激のある苦味がする
- 風味が飛んでいておいしくない
などなど、せっかくのコーヒーを台無しにしてしまいます。
おいしく焙煎をするって難しいんだね。焙煎士さんに感謝しなきゃ。
コーヒーの浅煎り、中煎り、深煎りの違い。焙煎度によって味はどう違うの?
焙煎について知ったところで、いよいよ焙煎度による味の違いについてお話ししていきましょう。
それぞれの焙煎度の特徴を知ることで、コーヒーの味を想像しやすくなったり、自分の好みのコーヒーを探しやすくなったりします。
もうコーヒー屋さんで同じ豆の焙煎度違いを見ながら悩んだり、知っているふりをして買い物をしなくて済みますよ。
浅煎りコーヒーの特徴
コーヒーの焙煎度を3段階に分けたとき、一番浅い(焼けていない)焙煎度が浅煎りになります。
浅煎りのコーヒー豆は明るいシナモン色のような茶色をしています。
それでは浅煎りのコーヒー豆の特徴を見ていきましょう。
- 酸味が強く感じられる(ベリーのような、柑橘系のような、など)
- そのため、反対に苦みは少ない
- キレが感じられ、スッキリとした味わいになりやすい
- 華やかな印象のコーヒーになりやすい
- サードウェーブのコーヒーで好まれる焙煎度
苦みが少なく酸味が強いので、初めて飲む方にはびっくりされるのが浅煎りの特徴ですね。
いわゆる「苦いコーヒーが苦手」っていう人には、反対に飲みやすかったりもするんだよね。
- 焙煎後の豆でコーヒーを淹れても、粉が膨らみにくい
- 深煎りと比べて水分が蒸発していないため、重さがある
- 深煎りと比べてカフェインが多く含まれている
浅煎りの方がカフェインが多いんだ!?
「コーヒーっぽくない味」だから、びっくりしますよね。
浅煎りで好まれる豆は、エチオピアやケニアなど。
華やかでフルーティーなコーヒーになりやすいので、それまで苦いコーヒーだけを飲んできた方には、「こんなコーヒーがあるなんて!」と驚かれる焙煎度です。
中煎りコーヒーの特徴
浅煎りと深煎りの中間の焙煎度が、中煎りになります。
浅煎りよりは茶色く、けれど深煎りの黒々とした感じよりは明るい茶色になります。
浅煎りよりは多めに焙煎されているけれど、深煎りまでいかないくらい……って、難しいね。
それでは中煎りのコーヒー豆の特徴を見ていきましょう。
- 酸味と甘み、コクのバランスがよくなってくる
- 柑橘のような酸味が感じられるものもあれば、ナッツのような香ばしさやチョコレート感を感じるものもある
- 苦味もほどよく感じられる
- コーヒーらしさもありながら軽い味わいになりやすく、万人受けしやすい
- 焙煎したてのコーヒー豆にお湯を注ぐと、もこもこと膨らんでくる
味わいの特徴も、浅煎りと深煎りの中間といった感じです。
ブラジルやホンジュラス、コロンビアにグアテマラなど、さまざまな産地の豆で中煎りを見かけると思います。
酸味がおいしく、けれどコクもあるコーヒーが中煎りに向いているなと感じます。
深煎りコーヒーの特徴
最も深く焙煎されたコーヒー豆が深煎りになります。
深煎りのコーヒー豆は、焦げ茶のような、黒々と輝いているような、どっしりとした色合いになります。
コーヒーの油脂が表面に浮き出て、てかてかしているのが深煎りの魅力ですね。
それでは深煎りのコーヒー豆の特徴を見ていきましょう。
- 甘みがあり、苦味が強い
- コクがありミルクとの相性も良い
- まろやかな味わいになりやすい
いかにもコーヒーらしい味が深煎りの特徴ですね。
甘み、コク、苦みが引き出された深煎りコーヒーは、飲むとほっと安らぎます。
- エスプレッソに適している
- コーヒー豆の表面に油膜が浮かびやすい
- 浅煎りと比べ水分が蒸発しているので、同じ体積でも軽くなる
- 浅煎りと比べカフェインは少ない
(※従来はエスプレッソにする豆は深煎りがメジャーでしたが、近年では浅い焙煎度の豆で華やかなエスプレッソを楽しむお店も増えてきました)
深煎りで好まれるのはインドネシアのほか、グアテマラやコロンビアなどの中煎りでご紹介した豆も、深煎りに向いています。
同じ豆でも、焙煎度を変えることで引き出される味わいが異なってきます。
焙煎度を基準にコーヒー豆を選ぶときに注意したいこと
ここで、ひとつ注意していただきたいことがあります。
実は、
- 浅煎り
- 中煎り
- 深煎り
の焙煎具合に統一された基準はなく、それぞれの焙煎度はお店によって異なるのです。
つまり、タナカロースターでは「中煎り」として売られているコーヒーが、ヤマダロースターでは浅煎りだったりするってことだね?
焙煎度の名前は同じでも、お店が変われば浅めだったり深めだったり、お店ごとの個性があるのです。
なので、もしあなたがあるお店の特定の焙煎度が気に入ったとしても、別のお店では気に入る焙煎度は違うかもしれないのです。
「あっちのお店では中煎りがおいしかったのに、このお店の中煎りはあまり口に合わないな」というときは、他の焙煎度を試してみてください。
お店ごとに自分好みのコーヒー豆を探し直さなきゃいけないって、ちょっと大変だなぁ。
でも、試飲ができるお店も多くありますし、どんな味か店員さんに尋ねてみるのも良いと思いますよ。
コーヒー専門店の店員さんは、とてもコーヒーに詳しくて、親切な方が多いです。
自分の好みを伝えると、合いそうなコーヒーを一緒に探してくれますよ。
コーヒー屋さんで店員さんと話すのが好きって人も多いよね。
私もお店の方とお話しするのが好きですし、何度か通い詰めて、顔見知りになれるとうれしいですよ。
以上、コーヒーの焙煎について、そして焙煎度ごとの味の違いについて解説させていただきました。
コーヒー初心者の方にわかりやすいように心がけてみましたが、いかがだったでしょうか?
説明がわかりにくいと感じたところや、もっと詳しく解説してほしい部分があれば、ぜひお気軽にコメントをください。
お待ちしています!
また、取り上げてほしいコーヒートピックなどもあれば、コメント欄でも、ツイッターへのリプライでも書き込み大歓迎です。
「道産子MAYAのコーヒー歩き」を通して、コーヒーをもっと楽しんでもらえたらうれしいです。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
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