久しぶりに心を動かされるコーヒーに出会ったので、皆さんにも紹介したいなと思って筆を執っています。
以前この記事で遊びに行ったCoffee ELM Sapporoさんがお名前を改めてCOFFEE ELMさんとなったのですが、今日ご紹介するのはそのELMさんの「イエメン モカマタリ」です。
ショップに並んで早々に一度売り切れになってしまっていたのですけれど、追加で焙煎してくださったのか、また買えるようになっていたので、一人でも多くの方にチェックしていただけたらなと思っています。
スペシャルティコーヒーだけがコーヒーじゃない
私は元々コーヒーが苦手で、苦いのも酸っぱいのもどちらも美味しいと思えませんでした。
それが飲めるようになったのは、スペシャルティコーヒーのお陰です。
私より先に弟がコーヒーにハマり、少し分けてもらっているうちに飲めるようになって、自分でもスペシャルティコーヒーを買うようになりました。
初めて自分でコーヒーを買った時はドキドキでした。
スペシャルティコーヒーには雑味や嫌な風味はなく、苦みにはナッツ感やカカオ感があったり、酸味には柑橘やベリーの面影があったりと、全ての要素が美味しさと結びついていました。
私はコーヒーを飲めるようになったのではなくて、スペシャルティコーヒーを飲めるようになっただけだと思っています。
現に、未だにスペシャルティじゃないコーヒーの中にはどうしても苦手な味がしてしまって駄目なものもたくさんあります。
ご飯を食べに入るお店では怖くてコーヒーは頼めないし、ご好意でいただいたコーヒー豆が飲めなくて家族に飲んでもらうことも少なくありません。
スペシャルティグレードじゃないコーヒーは、まだまだ苦手なんだ。
そんなスペシャルティコーヒーばかり飲んでいた私の心に一石を投じたのが、ELMさんのモカマタリでした。
ロースターさんのどれほど熱い思いが込められているかは直接ELMさんのサイトで説明文を読んでほしいのですが、コーヒーへの深い愛情があって、「スペシャルティ品ではない豆もお客様にお届けしよう。」ということでELMさんが初めて選んだスペシャルティ品ではないコーヒーが、このモカマタリでした。
スペシャルティじゃないけど飲めるかな。
そんな不安は確かにありましたが、この間新しく仲間に加えたドリッパーとの相性も良く、とても美味しく飲むことができました。
「珈琲の貴婦人」モカマタリ
私はELMさんが、熊谷さんが大好きです。
コーヒー屋さんが書くコーヒーの説明文章はどれも美味しく読むタイプですが、ELMさんの文章は特に好きで。
そんなELMさんが文章で全力で殴ってきた。それがモカマタリの商品説明文でした。
彼の思いを知りたい。
彼が「これならELMのお客様に飲ませられる」と思った味を知りたい。
彼にあそこまで言わしめる、コーヒーという液体の可能性を私も追いかけたい。
家にはまだまだコーヒーの在庫がありました。普段なら、送料無料になる量をまとめて注文していました。
そんな私がこのイエメンは、単品で100gだけカートに入れて、ショップに並んだその日に注文したのでした。
彼の文章に強く揺さぶられていました。
スペシャルティじゃないコーヒー。でも、ELMさんが「これならお客様に届けられる」と思ったコーヒー。それはすぐに届きました。いつもより小さな箱に入って。直筆のメッセージ付きで。
そこには抽出温度のアドバイスと共に、モカマタリが「珈琲の貴婦人」と呼ばれているのだという知識が添えられていました。
貴婦人と言われると、中世ヨーロッパの貴族の女性、みたいなのが頭に浮かびますね。
なるべくアドバイス通りに、少し緊張しながらすぐにコーヒーを淹れました。
香りは少し不思議な、大地と緑が混ざり合ったようなイメージ。ロースターさんのようにコーヒーを表現する言葉のレパートリーが少ないから、抽象的になってしまいますね。
飲んでみてびっくり。
甘くて、香りがふわりと鼻腔に抜けて、たしかにどこか上品な感じがして、「これが珈琲の貴婦人か」と感動しました。
何より、スペシャルティではないはずなのに、今まで好んで飲んできたコーヒーと遜色ない美味しさなのが驚きでした。
スペシャルティじゃなくてもこんなに美味しいコーヒーがあるなんて。
それと出会わせてくれる信頼できるロースターさんがいるなんて、一体どれほどの幸福でしょう。
熊谷さんのコーヒーにはいつも生きる活力を貰っていますが、このモカマタリは疲れた時にじんわり温めてくれる、どこか優しい味わいを感じました。
ELMはまだまだ止まらない(でいてください)
COFFEE ELMはenimo no.5での出店は撤退してしまったけれど、次はブラジルが出てくるとの予告もあって、とても楽しみにしています。
ブラジルは大好きな産地なので、ELMさんの焙煎で飲みたいなとずっと思っていたのでした。
以前のELMさんは「スペシャルティ! 浅煎り一本勝負!」みたいなところがありましたが、今は妖艶な味わいすらする深煎りまで焼いてくれるようになって、楽しみの幅が広がったので、ブラジルの焙煎もどんな風になるのか楽しみにしています。
ブラジルらしいブラジルであまーいカフェオレを作りたいな。
そのままで飲んでも絶対美味しいブラジルに、敢えて砂糖と牛乳を入れる贅沢を味わいたい。
ブラジルのリリースまでに、家のコーヒーを少し減らさないと、今はまるでお米のようにコーヒーが大量にあります。
お友達は私の家にコーヒーを飲みに来てくれてもいいんだからねっ。
それでは、これからも私の推しロースターELMさんをよろしくお願いします。
コメント