「ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方」
っていう本を買おうか迷っているんだよね。
そういうことなら、私がレビューしましょう。
つい先日、この本を買いました。《ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方》
恥ずかしながら、MAYAはコーヒーが大好きですが、まだまだ上手に淹れることができません。
なのでこの本を買って、書かれていることを参考にコーヒーを淹れてみたら、今までより少し美味しく淹れることができました。
その体験をツイッターで呟いたところ、フォロワーさんから、「買おうか悩んでたけどマストバイですか?」とコメントをいただきました。
最近出た本ですし、話題にもなっていますけれど、レビューが出揃うのはまだまだこれから。人によってコーヒーに対する理解度も違いますし、自分に合うかどうかはなかなかわからないですよね。
私も、「読み切れないかもしれない」「自分のレベルに合わない本かもしれない」と不安に思いながら、お試し感覚で購入ボタンを押しました。
本の売り上げを邪魔しない程度に、内容の紹介と、MAYAの考えるこの本が向いている人を解説したいと思います。
ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方
2014年にワールド・バリスタ・チャンピオンシップで、アジア人として初めて優勝した井崎英典さん。彼がコーヒーを淹れている様子を写したカラー写真と、上記のメッセージ。
コーヒーが大好きな人も、これからコーヒーを知っていきたい人も、どこかわくわくするような導入からこの本は始まります。
「自分好みのコーヒーを探す」ことがこの本の7割を占めている
「世界一美味しいコーヒーの淹れ方」というタイトルではありますが、本題であるコーヒーの淹れ方に辿り着く前に、とても長い前置きがあります。
そう、自分好みのコーヒーの探し方です。
コーヒーの味わいは
- 生産国
- 品種
- 生産処理
- 焙煎度
- 粒度
- 抽出
という6つの要素が複雑に絡み合って決定されます。
そんなことを言われても、生産国や品種ごとの味わいの違い、生産処理による特徴の差、焙煎度と自分の好み……複雑過ぎて、考えれば考えるほど、どうやって選んだら良いのかわからなくなってしまいますよね。
特にコーヒーを始めたての人は、一括りにコーヒーと言っても、たくさん種類があることの驚かれてしまうかもしれません。
この本は、「この豆をこうやって淹れたら世界一美味しくなりますよ」という正解を決め付ける本ではなくて、あなたの好みの豆の選び方を一緒に考えて、その上で適切な抽出方法を紹介する、「あなただけの」世界一美味しいコーヒーを見つけるための本なのです。
まるで読みながら、自分自身でコーヒーカウンセリングをしているような気分になります。
だから前置きが長いんだね
この本は、あなたにとっての「美味しい」を探すための本。
あなた好みのコーヒーを探すための3要素
- 苦いか酸っぱいか
- 生産国・品種・生産処理
- 焙煎度
この本では、おおまかに言ってこれらの要素から、あなた好みのコーヒーを探っていきます。
まずは苦みが好きなのか、酸味が好きなのか。そしてその中でも、濃いのが好きなのか、薄いのが好きなのか。
この時点で、なんと私は挫折しました。
なぜなら、苦いコーヒー、酸味が特徴的なコーヒー、それぞれ好きなものもあれば苦手なものもあるからです。
「苦いのが好きですか? 酸っぱいのが好きですか?」
そう言われても、「美味しいのが好きです」としか答えられなくて、自分好みのコーヒーの探し方はちっとも当てはまりませんでした。
とは言えそれ以降の、例えば生産国ごとの味わいの違いを紹介する章では、南米・中米・アフリカ・東南アジアのおおまかな地域の分け方から、この地域はバランスの良いコーヒー、この地域はコクのある味わい……と今まで
「国ごとにバラバラの味わいでよくわからない気がするよぉ~~」
と半べそを掻いていた知識が、綺麗に整理されてコーヒー生産地と味わいが結びついたような気がします。
例えば、私は「ブラジル」のコーヒーは比較的口に合うものが多いなと感じるのですが、それならばきっと「ペルー」のコーヒーも近いんじゃないかな、とか。
バランスの良いコーヒーが好きみたいだから、バランスを重視したブレンドを買ってみようかな、なんて考え方をすることもできるようになります。
一つ気に入るコーヒーを見つけたら、芋づる式に他にも好みのコーヒーを探せるようになるのが、この本のお役立ちポイントです。
品種・生産処理・焙煎度に関しても同じことで、自分はどれが好きなんだろう? というのは実際に飲んでみないと最初はわかりません。
けれど、一度気に入るものを見つけることができたら、「次もナチュラルの豆を買ってみようかな」「この店は中深煎りが美味しかったな」なんて選び方ができるようになります。
あ、そうそう、この本は私に大切なことを教えてくれました。
それは、店によって焙煎度合いは異なるということです。
同じ「中煎り」でも、一方の店は浅煎りに近く、一方の店は深煎りに近い……なんてことはコーヒーの世界ではザラだそうです。
今まで、「あっちの店では中煎りが美味しかったのに、この店では中煎りが酸っぱくて飲めない……」なんてこともあったのですが、それは同じ「中煎り」という表現でも、実際の焙煎度は非常に異なっていたのかもしれない、ということがわかりました。
コーヒーを愛する中で、悩みの種だったことが一つ解決しました。
「苦み」と「酸味」の2つの分け方から、徐々に狭く具体的に、あなた好みのコーヒーを見つけます。難しく悩まなくても大丈夫です。
自分好みの抽出をしていくために
さて、ここに至るまでが7割です。
そして抽出方法については、体感で2割くらいしか書かれていません。
正直な感想を言うと、私は「コスパの悪い本だった」とも思います。抽出方法だけを知りたいだけなら、ネットでレシピを検索しても良かったかも、と。
けれど、周辺知識も合わせて学ぶから、結果的に効率よくコーヒーのことを知れるし、全部のページを真剣に読まなくても、興味を惹かれたところだけ拾い読みすればいいや、とも思います。
閑話休題。
豆の選び方を一通り解説したら、いよいよバリスタ・チャンピオンの抽出方法を解説……かと思いきや、もう一段階ありました。
- 粒度
- 抽出方法、ドリッパーの違い
これらの解説です。
美味しいと言われる豆を選んでいるのに、どうにも濃いor薄い。えぐみや雑味が出てしまう。
そんな経験、ありませんか? 私は近頃これに悩まされていました。
コーヒーらしく、もこもこドームが膨らんで、ゆっくりぽたぽたと落ちてくる……。そんな風にドリップをしたくて細かめに挽いてしまっていたら、どうにも豆の粒度が細かくなりすぎてしまっていたみたいです。
粒度に関してはこの本では正解はわからず、「以前よりはマシに挽ける知識が付いた」くらいなのですが、細かければ良い訳でも、豆をたっぷり使って粗く挽いて贅沢に淹れれば美味しくなる訳でもないということを、改めて知ることが出来ました。
それから、ペーパードリップの他に、ネルドリップやエスプレッソ、フレンチプレスにクレバードリッパー……。他にも様々な抽出方法があり、この本でこれから紹介していくペーパードリップでは、有名メーカーだけでも何種類もドリッパーが出ています。
これまでにも確認した好みの味わいを出すため、自分好みのドリッパーはどれを選べば良いか、そのヒントも紹介されています。
豆の粒度はとっても大事。ドリッパーをこれから選ぶなら、それぞれの特徴も紹介されています。
抽出のメソッド
いよいよ抽出方法に移ります。
適切な粒度がわかれば、あとは淹れ方です。
コーヒーの粉にお湯を注ぐスピード、蒸らしの時間、何回に分けてお湯を注ぐか――。
豆の重さとお湯の量の黄金比は1:15もしくは1:16というのをよく見掛けます。抽出時間はだいたいどのレシピも3分前後で紹介されているでしょうか。
何回に分けてお湯を注ぐか、ということまで詳細に書かれた抽出レシピもしばしばありますが、私がこの本で一番役に立ったと思ったのは、コーヒーの粉にお湯を注ぐスピードの解説です。
蒸らしの時は1秒間に○ccくらい、本抽出では1秒間に○ccくらいが適切で、そうすることで粉が○○な状態になり、美味しく無駄なく淹れられます。という知識が身につきました。
この基本のレシピを紹介した後で、スッキリした味わい、キレのある味わい、コクのある味わい、まろやかな味わい、そしてバランスの取れた味わいの5種類の抽出レシピも紹介されています。
基本レシピと5種類の追加レシピ、ここまで学べばこれらを軸に、自分なりの抽出方法を探していくことができそうです。
抽出レシピは色んなバリスタさんが紹介しています。けれど、お湯の速度までを説明しているのがこの本の見どころ。
コーヒーグッズの紹介
そして最後に、これからコーヒーを始める人やコーヒーグッズを新調したい人に向けた、18個のおすすめグッズも紹介されています。
グラインダーやコーヒーメーカーの他に、なんと水まで紹介されています。
こんな道具もあるんだ! と写真付きで知ることができるのは単純にワクワクしますね。
既にドリッパーもグラインダーも持っているけれど、ついつい商品レビューを見てしまう……なんて、コーヒーラバーあるあるですよね?
この本はどんな人に向けた本なのか?
コーヒーをもっと知りたい人の、一冊目の本に最適
私はこう思います。
既にお店で働いていて、充分知識があるなぁ、と思う人にはちょっと物足りないかな? と思います。
また、コーヒーの知識をもっと深めたいなら、更に詳しい本が世の中にはあるかなと思います。
私の場合は、「もっと詳しい本」で一度挫折しているので、初心者・入門者向けのこの本はちょうど良かったなと思います。
生産地や品種ごとの違いに特化した本ではありませんので、バリスタレベルの知識を得たい人には不向きかなと思います。
一方で、抽出に役立つ豆知識は豊富で、「水」の違いによる味わいの変化の仕方は目から鱗でした。
幸い北海道に住んでいるので水道水で充分美味しいのですが、もし都会に住むことがあれば、浄水器や宅配水サービスを利用しようかな、と思わず考えてしまうほどでした。
ギュッと濃い知識が詰め込まれている訳ではないですし、自分好みのコーヒーを探る部分が長すぎて最初にちょっと飽きてしまうという欠点もありますが、一度しっかり抽出の基本を学べること、美味しいコーヒーを淹れる際に見落としがちなポイントも意識できるようになることがこの本の良いところでした。
参考になったでしょうか?
「世界一美味しいコーヒーの淹れ方」はkindle版もあります。カラー写真が綺麗で、見ているだけでコーヒーを淹れたくなるので、カラー表示出来るkindle端末やタブレット端末をお持ちの方は、こちらも良いかもしれませんね。
この本が合わない人も居るかもしれません。
私も諸手を挙げて「良かった! 気に入った!」とは言えません。けれど、読まなければ知れないことは、確かにありました。
買うか買わないか、この記事を読んでじっくり考えてもらえたら良いなと思います。
コメント
コメント一覧 (6件)
MAYAさん、こんばんは。この本、気になっていました。レビューしていただきありがとうございます。
もし、コーヒーの抽出技術を上げるのが目的なら、おすすめがあります。THE STUDY OF COFFEE 堀口 俊英著、です。去年出版された本ですが、すでに重版となっています。堀口コーヒーがお好きなMAYAさんにぴったりなのではないでしょうか。読者にとって最良のコーヒー抽出チャートを作成することを最終目的にしている、そんな著作です。本屋さんで立ち読みされてみてください!
こちらの記事にもコメントありがとうございます。
この本、気になっていらっしゃったんですね。本のレビューはまだまだ上手に出来ないなぁと難しく思っていたのですが、少しでも参考になればうれしいです。
THE STUDY OF COFFEE、良い本ですよね。chiekom77さんもお持ちでしたか!
まさに、堀口珈琲も好きなので早々に購入していました(笑)
ボリュームたっぷりで、読み応えのある本ですよね。
コーヒーについて知りたいことがあった時に、辞書的な感覚でパラパラ開いています。
好きな本のお話が出来てうれしかったです。コメントありがとうございました。
MAYAさん、お返事ありがとうございました。THE STUDY OF COFFEEお持ちでしたか。私は知り合いから借りて読んでみました。おかげで、抽出技術がちょっと上がった気がしています。ただ、私はドリップするときに、まだスケールを使ってなくて、淹れ方は極めてないですよ、全然!(苦笑)
こんにちは、お返事がすっかり遅くなってしまってすみません。
chiekom77さんはお知り合いから借りて読まれたのですね!コーヒー好きなご友人がいらっしゃるのですね(*´︶`*)✿
抽出技術が上がる良い本ですよね。わかりやすくて理論的で。
スケールを使うと各段に味が安定します!
豆の量も正確に量ると濃さがぶれないので……。
ドリップスケールじゃなくても、キッチン用の0.1g単位で量れるものでも良いので、導入をオススメします!
MAYAさん、お返事ありがとうございました。そうですね、キッチンスケールなら防水のがあるので、時々使ってみようかと思います!そして、ツイッターで、「コーヒーライフクリエーター」の件とか、ブログ更新のこととかつぶやかれてましたね。MAYAさんのペースで、全然いいと思いますし、このブログ、とても役に立つので、「コーヒーライフクリエーター」もそのままでも全然大丈夫だと思ってます。時間がたつにつれ、変えていきたい部分というのはきっと出てくるものだとは思いますけれど!
chiekom77さん、コメントありがとうございます。ブログ更新できていない時も遊びにきてくださってうれしいです。
私もコーヒー専用のスケールを買うまでは、タニタのキッチンスケールを使っていました。買ったのがだいぶ昔だったので、1g単位でしかはかれないもので。それでもぐんっとおいしいコーヒーを淹れられるようになりましたよ!
「コーヒーライフクリエイター」の名称の話も、気にかけてくださってありがとうございます。
このブログが役に立つと言っていただけてとてもうれしいです。書いてて良かった! って思いました。
「格好良い肩書き」に釣り合う自分になりたいので、模索しながら頑張っていきます。温かいお言葉ありがとうございます。