「人間関係をうまくやるにはどうしたらいいんだろう?」
誰にでも、この難問にぶつかって悩んだ経験があると思います。
友人や家族、恋人とうまく付き合っていく能力って、「生まれつき備わっているもの」だと思っていませんか?
私もそんな風に考えていて、「相手のことを大切に思っていれば、自然とうまくできる」と思い込んでいました。
だから、
- 友達とうまく友情を深められなかったり
- 家族にイライラしてしまったり
- 恋人とケンカが増えてしまったり
といったことがあると、「自分には人付き合いの才能がないんだ……」なんて落ち込んだりしたものでした。
ところが、これは間違いだったというのが、この本を読んでわかりました。
今日ご紹介するのは『上手な愛し方 リチャード・テンプラー(原題:THE RULES OF LOVE)』です。

人間関係の根底にある「愛情」とは、ただ念じればうまくいくものではなく、それを実践するための法則(ルール)や基本的な考え方が存在したのです。
世の中には愛情表現が不器用な方もいますが、そのような個性はときにはトラブルになってしまうことも。

友達や恋人とのケンカもトラブルの一つだね。
ところがこの本を読めば、そういったトラブルを回避するためのヒントが手に入ります。
- 上手に愛情を「表現」することで相手にも誤解なく受け取ってもらえる
- 「愛し方の姿勢」を知ると、人との適切な距離感もわかるようになる
⇒結果、人間関係による余計なストレスが減る
自分の内面と向き合いながら、ゆっくりとした時間を過ごせるとても素敵な本でした。



静かに落ち着いて過ごしたいコーヒータイムのお供におすすめの本ですよ。
『上手な愛し方』に書かれているのは、愛し愛され幸せに生きるための「愛のテクニック」
『上手な愛し方』には117個もの愛のテクニック(ルール)が書かれています。
愛とは言っても、原文が欧米圏ですので、恋愛的な意味のLOVEのみでなく、友愛や親愛も含んでいます。
- ほんとうの愛を見つけるための20のルール
- 愛を育てるための52のルール
- 家族のための16のルール
- 友情についての14のルール
- すべての愛のための5つのルール
- 別れのための10のルール
このような章構成になっていて、恋愛についてはもちろん、友人や家族との付き合い方についても多くのページが割かれています。



恋人や配偶者がいる人向けの本ってわけじゃないんだね?



そうですね、誰にでも役立つ本だと思いますよ。
- まだ人生のパートナーが見つかっていない人⇒パートナー候補さんと出会ったときに気を付けたいポイント
- パートナーがいる人⇒より幸せな関係を築くための方法
- 大切な人との別れを考えたとき⇒泥沼にならないための道標
- 家族や友人を大切にしたい人⇒これらの関係を健全にするための姿勢や心構え
などなど、さまざまな場面で役立つテクニックや考え方が書かれているのです。



極端なことを言うと、小学生からおじいちゃん・おばあちゃんまで役に立つ本なんだね。



そうなんです! 読まなくていい人なんていないと言っても過言ではありません。
この本を読むまで、私の愛情表現は自分なりに考えた我流のものでした。
- 相手のためを思っているつもりで不必要なアドバイスをしてしまう
- 「親しき仲にも礼儀あり」がうまく守れず不誠実なことを言ってしまう
- 不健全な関係でもズルズルと続けてしまう
こんな風に、『上手な愛し方』の教えとは異なることをしては失敗していました。
それでなんとなくうまくいっていないような気はしていたものの、「人生ってどうせこういうものだよね」と思ってもやもやが続いていました。



自分の違和感に素直になるべきだったんだね。



でも、正しい人間関係のやり方ってなかなかわからないですよね。
この本は
- 相手の心への正しい寄り添い方
- 関係を維持するために本当に自分がなすべきこと
などの指針を与えてくれます。
ときには厳しいことも書かれていて、愛を実践するためには自分が我慢したり、与えたりすることも必要になってきます。
でも、「上手な愛のためにはこれが必要なんだ」と思うと、案外気分よく相手に尽くすことができるものでした。
そしてその結果相手からうれしい反応をもらえると、負担をあまり感じず、むしろ幸福感が増すのです。
その結果、人間関係で我慢するストレスや、人間関係がうまくいかないことへのストレスが減るのです。
この本に書かれているすべてのテクニックをご紹介することはできませんが、「具体的にどんなことが書かれているんだろう?」と知りたい方のために、簡単なご紹介とレビューを書きたいと思います。
それではご覧ください。
人間関係のテクニック①ちがいを認め、共通点を大切にする
この本に書かれている愛のルールはシンプルで、当たり前のように思うことも多いです。
けれど、実践するのはなかなか難しいもの。
わかっているつもり、できているつもりでも、実際はできていないということも多いはず。
それを思い出させてくれるルールもたくさんあって、「ちがいを認め、共通点を大切にする」ということもその中のひとつでした。
長く一緒にいればいるほど、「相手も同じように考えているはず」と思い込むようになってしまうものだと思います。



熟年夫婦の価値観が似てくる、ということもありますものね。
でも実際は
- 私は辛いものが好きだけど、彼は辛いものが苦手
- 自分は映画が好きだけど、彼女は音楽の方が好き
- あなたは数学が得意で、パートナーは国語が得意
なんて、さまざまな違いがやはりあるものです。
本の中では「異なる強みを持ったふたりの組み合わせこそが、最高のチームになる」という表現がされています。
本来は全く別々の人間である、あなたとパートナー。
二人の得意分野が違うから、互いを補うことも、支えることもできるのですね。
相手が自分と違う考え方をしたときについ「イラッ」ときてしまうこともあるものですけれど、そんなときにこのルールを思い出して、ぐっとこらえられたらいいなと思いました。
また、ここで忘れてはならないのが、「違いばかりを数えるのではなく、共通点も探す」こと。
共通点があることのすばらしさ、違いがあることのすばらしさ。
その両方を説いてくれるこのルールは、恋愛においても、友情においてもとても大切なことだと思います。
人間関係のテクニック②自分の欠点はフィルターにする



自分の欠点をフィルターにする? それってどういうこと?



これは特に、恋人を選ぶ段階にある人に向けたアドバイスなのです。
このトピックには、筆者の知人の女性が登場します。
この女性のかつてのパートナーは、彼女の外見について口うるさく言っていました。
まるでパートナーの目当ては自分の外見だけのよう。
その人が実際どう考えていたのかはわかりませんが、世の中には外見目当ての人がいることもたしかです。
だからこそ、外見に欠点があるとしたら、それはラッキーなのだ。それは相手を見極めるフィルターの役割を果たしてくれる。
外見がおとろえただけで、いい関係を保てなくなるような相手が近寄ってくるのを、あなたの欠点が防いでくれるのだ。おかげで無用の手間が省けるというものだろう。
この文章にはっとさせられました。
今まで欠点をこのようにとらえたことがなかったですし、コンプレックスに悩むすべての人に、この言葉をプレゼントしてあげたいです。
もちろん、これは外見の欠点に限った話ではありません。
欠点を直そうと努力をするのはすばらしいけれど、自分に自信を持つことや、欠点をうまく利用することの大切さも覚えておきたいと思う項目でした。
欠点を受け入れてくれない人ではなく、欠点を受け入れてくれる人をパートナーや親友に選びたいものですね。
人間関係のテクニック③相手が必要とするときにはそばにいる
相手が自分を必要としているときにそばに居てあげること、あなたはできていますか?



「何を当たり前のことを」と思うでしょうか?
私はけっこう「難しいな」「できていなかったな」と思った項目でした。
というかお恥ずかしながら、「そこまでするものなの!?」と驚いた項目でもありました。
友人があなたを必要としているときは、忙しくても、疲れ切っていても、時間を見つけなければならない。
「よき友人になるため」に、この項目は、強めの語気で書かれていました。
友情はお互い無理のない範囲で、というようなスタンスだった私にはかなり衝撃的でした。
このところあまり友情に時間を割いていなかったのですが、「友人のために時間を作ること」「精神的にそばにいること」がどれほど大切なのか、学ばされました。
あなたはどうでしょうか? 友人のために時間を作れていますか?
「作っているよ!」というあなた、すばらしいですね。あなたのような友人がいて、お友だちは幸せだと思います。
「実はあんまり……」というあなた、私と一緒でしたね。疎遠になっていた友人に、勇気を出してLINEの一通でも送ってみてはいかがでしょうか?
(私もこの本を読んで、最近連絡を取っていなかった友人に話しかけてみました)
「そんなことか」
「けっこう簡単だな」
と思うこともあったと思います。
ひとつひとつの愛のルールはシンプルで当たり前のことなのですけれど、117個すべてを通して見てみると、中にはできていなかったこと・知らなかったことが誰にでもあるものだと思います。



私はかなりありました……。
人間関係は、誰もが悩むものだと思います。
さまざまな摩擦の中で悩んで迷って、そして成長していくものだと思いますが、植物だってまっすぐ育つためには支柱が必要です。
人間関係がうまくできるようになるために、支柱となってくれるのがこの本だと思います。
うまく人と付き合えなくて悩んでいる人はもちろんのこと
- 家族とちょっとぎくしゃくしてしまっている人
- つきあい方に悩んでいる友達がいる人
- 恋人やパートナーをもっと幸せにしてあげたい人
に、ぜひ読んでほしい一冊です。
読むと愛情に満たされるこの本。ほっこりと幸せな気持ちになりたいコーヒータイムのお供に、いかがですか?


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